脳波ポリリズム
鳥居みゆき、お笑い、音楽、文学、社会など、興味と欲望のおもむくままに森羅万象あらゆるものを取り上げ、ディープに迫るブログです。
Conversations in Clave
74f91ec8.jpg しばらく前に届いていたHoracio "El Negro" Hernandezの教則DVD『Conversations in Clave』を見た。
 これはHoracioが出した同タイトルの教則本の内容とその応用を彼自身が実演してみせたものだ。いちどWarner Brothersから出たらしいのだが、ほどなくして廃盤となり、幻のDVDと化していた(僕もWarner版は見たことがない)。最近になってAlfred Publishingというところから再発され、めでたく入手可能となったものだ。
 ひとことで言うと、これはキューバン・パーカッションのリズムをドラムセットに応用する際の4-way independence(両手両足を独立させて動かすこと)を鍛えるための教材である。メロディ楽器で言えば、スケール練習のようなものだと思えばいいかも知れない。
 Horacioの実演を見ると、彼があまりに軽々とやっているので自分でも簡単にできるとつい思ってしまう。いや、教則本の譜面を見ても、音符そのものはそんなにむちゃくちゃややこしいというわけでもないのだ。しかし、実際にやってみるとこれがとてもとても難しい。初歩のところでもう「うー」などと唸ってしまう。
 まあ、そもそもキューバのリズム自体が日本人には馴染みのないものだということもあるだろう。rumba claveとson claveなどと言っても、多くの日本人にとっては「何それ?」という世界だと思う。かの渡辺香津美でさえ、彼がHoracioとコンサートで共演したのを聴いたときにわかったのだが、明らかにこのふたつの区別がついていなかったぐらいなのである。だから、4-way independenceがどうのと言う以前に、まず体にキューバのリズムを入れるところから始めないといけないのだ。
 しかも、実はHoracio自身、このテクニックを完成させるのに10年もかかっているのである。たしか以前、彼本人からそう聞いた。したがって、僕のような凡人がそう簡単にできるわけがないのである。
 それでも、ドラマーやパーカッショニストにとっては、参考になる部分やインスパイアされる要素が山ほどあると思うし、ただ「すげー」と楽しむこともできると思う。また、El Negro & Robby Bandの曲を使った模範演奏の部分は、ドラマーでなくても楽しめるかも知れない。
 いずれにせよ、これが現代ドラミングの最先端の流れのひとつである。彼以降に出てきた若いドラマーの多くが彼のスタイル、特に左足のclaveを必修テクニックとして取り入れているのは紛れもない事実である。やはりドラマーなら必見のDVDと言っていいだろう。

テーマ:ドラム - ジャンル:音楽