日本のTV中継はとにかく気持ち悪かった。アナウンサーや、解説者と称する元選手たちがいろんなことを言っていたわけだが、必ずと言っていいほど最後は「とにかく〜しかない」という思考停止に陥っていた。ポジショニングとか戦術などの詳細な分析は無きに等しかった。
これはつまりは大日本帝国的ヒステリックかつ無責任な根性主義である。きちんと理性で考えて、明確なイメージをもって意志の力で行動するのではなく、何も考えずただやみくもにやっていれば、そのうちカミカゼが吹いてどうにかなるだろうという甘ったれた考え方である。それがもっとも露骨に出たのが第二次大戦だったわけだが、あいかわらず日本人は何も学んでいないというわけなのだ。
出張でロンドンに滞在していた時にもBBCだのITNだので長い時間を割いてワールドカップを取り上げていたが、そこでは実に詳細な分析と解説が行われていた。「とにかく〜しかない」などという、実際には何も言っていないに等しい馬鹿げた精神主義的な台詞は誰も言っていなかった。
日本人は過去の失敗から学んで次につなげていくということが決定的に下手である。何か失敗しても、結局は「済んだことは忘れて、気持ちを切り替える」とか「水に流す」とか「禊を済ます」などといったことで終わらせてしまい、積極的に忘れてしまおうとする。スポーツの世界や政治の世界では特に多い。なお悪いことに、無理に相手をとことん打ち負かして勝たなくても、そこそこ行ければいい、というような考え方さえある。だからいつまで経っても同じ間違いを繰り返すし、いつまで経っても世界で対等にやりあうことができない。
今の日本サッカーでそのような現状を明確に分かっていて、しかもそれを打破すべく実際に行動しているのは中田英寿
ここ数年ほど、陸上競技やスケートなどの個人競技ではまともな選手がかなり出てきたが、団体競技ではまだまだである。日本の団体競技の選手で、そういう真のプロ意識を持っているのは、中田の他にはイチローぐらいしかいないのではないだろうか。
まだまだ道は遠いと言わざるを得ない。
以前から、私服でうろついているときならこういうことはたまにあったのだが、立て続けに複数回というのははじめてだ。たまたま今日の格好が何か彼らにアピールし「こちら側の人間」と判断したのかも知れない。
ちなみに着ていたのは、MiamiのLittle Havanaで買ったTシャツにLevi'sの太いジーンズ、ごくふつうのNikeのスニーカー、それにGAPのキャップにレイバンのサングラスだった。他の休日と大して変わらない。うーん、どこがアピールしたのだろう?
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とはいえ、周辺のパブではサポーターたちが祝杯の真っ最中で、僕が入った店では酔っ払った女の子(といっても明らかに身長178cmの僕より縦も横もでかい)が窓から身を乗り出してきゃあきゃあ騒いだり、窓の縁に巨大な尻を乗せて落ちそうになったり(しかもその窓が、外の席に座っていた僕の目の前だった)、僕の吸っていたガラムの香りをかぎつけて「それいいわねえ」とちょっかい出してきたり、挙句の果てにはゲラゲラ笑いながらゴミや吸殻を窓から歩道に向かって投げはじめて、さすがにこのときは店員の屈強な男に厳しく注意されていた。
いやあ、やっぱり勝利の瞬間に立ち会いたかったなあ。
さて、いよいよ明日は帰国である。夕方まではオフィスで仕事して、そのあとHeathrow Airportに直行して飛行機に飛び乗り、成田へと向かう予定。到着は土曜日の午後である。長いようで短い滞在だったなあ。まあ、たぶんまた来ることになるだろう。
写真はThe British Museum。「おお、Monty Python's Flying Circusのアニメーションで見たとおりだあ」と妙に感動した(笑)。
この日は気温がたしか27℃ぐらいだった。ちなみに昨日は最高気温がなんと32℃。前回、6月末ごろに筒井康隆氏にくっついてロンドンに来たときも、前日まで12℃とかで肌寒いぐらいだったのに、到着当日に一気に30℃近くまで上がり、滞在中ずっと快晴で猛暑が続いたという「前歴」がある。飛行機がヒースローに到着する前、機長が現地の天気をアナウンスしたときに「信じられないけど」という前置きがくっついたぐらいなのだ。昨年8月後半にMiami Beachに行ったときも、滞在中はずっといい天気だったのに、帰国した直後に例のカテリーナが直撃してえらいことになってしまった。本当に僕はとことん「晴れ男」みたいである。
もっとも、今日は朝から雨が降ったりやんだりという天気。さすがに雨雲も少しは自己主張したくなったようだ。
その後ようやく自分の位置が判明し、調べておいたカメラ屋へ行き、card readerを買った。これでデジカメのSDカードからPCにデータを移せる。
ふたたび地下鉄に乗り、Holborn駅で降りてThe British Museumへ。ここでも少し迷ったが、なんとか無事に到着した。入場無料なのにびっくり。さっそく入り、あてもなくふらふらと見物するが、意外と展示品が少ない。建物がむちゃくちゃ空間をぜいたくに使っているせいもあるかも知れない。
しかし量だけでなく、他にも何か物足りない。なぜかと考えて、絵がないからだということに思い当たった。そう、ここは博物館であって美術館ではないのだ。そこでまた地下鉄に乗り、Leicester Square駅で降りてThe National Galleryに行った。ここも入場無料。入ると、さすがにゴッホだのゴーギャンだのルノワールだのレンブラントだのヴァン・ダイクだのルーベンスだのもっと昔の宗教画だのがてんこ盛り(ただし展示画の年代が1900年までなので、ピカソやダリやカンデンスキーはなかった)。展示数も相当に多く、とうとう閉館までに全部見ることはできなかった。最初からこっちに来ればよかった。それにしても、このようにまとめて絵を見ると、西洋美術の歴史の中でやはり明らかにルネサンスの前後で大きな違いがあることがよくわかる。
売店でおみやげを買ってからThe National Galleryの外に出ると、目の前でカポエラをやっている一団がいた。Trafalgar Squareではアフリカ音楽の無料ライブをやっていた。昨日に負けず劣らず大変な人出だ。
荷物が増えたのでいったんホテルに戻り、シャワーを浴びてふたたび地下鉄でPiccadilly Circus駅へ。Leicester Square近くのパブに入り、やはり一度は食べておきたいと思ってfish and chipsを食べた。もちろん酢もたっぷりかけた。目の前のテーブルにはポルトガル人と中国人の混成という珍しい構成の団体がおり、ポルトガル人の青年が話しかけてきた。完全に酔っ払いである。パーティーやらライブやらでこの週末を通して1時間しか寝てないらしい。適当に相手をしていたら、やがてTVのポルトガル−アンゴラ戦を見に行ってしまった。ちなみに、隣のテーブルの一団はポーランド人だった。まあ、場所柄もあり、客のほとんどが外国人観光客なのだろう。
店を出てちょっとLeicester Square周辺をふらふらした。以前たくさんいたストリート・ミュージシャンや大道芸人はおらず、そのかわり似顔絵描きがなぜかやたらにたくさんいた。2,3人ほどかなりうまい人がいた。あきらかにちゃんとデッサンの基礎を身につけている人だ。しかし現役の美術学校生には見えないので、卒業生で食えない人が似顔絵描きをしているのだろうか?
そうこうしているうちに午後9時になったので、地下鉄に乗ってホテルに引き上げた。ずいぶんいろんなことをしたようでもあり、何もしなかったようでもある一日だった。
さて、明日から再びロンドンのオフィスで仕事だ。
今日はイギリス式の朝食を食べようと思い、ルームサービスで注文。待つこと約15分、インド系とおぼしきおじさんが持ってきてくれた。
内容は、スクランブルド・エッグにソーセージ2本、ハッシュドブラウン2枚、ベーコン2枚(アメリカのようなかりかりの奴ではない)、マッシュルームのソテー、焼きトマトにトーストが4枚、オレンジジュース、それにもちろん紅茶がポット1杯分。時間をかけてゆっくりといただいた。
さすがにこれだけ食べるとおなかがいっぱいになったので、いま紅茶を飲みながらひと休み中(いま現地時間で午前11時15分)。もう少ししたらシャワーを浴びて出かけるつもり。The British Museumにでも行こうかな。あ、その前にUSBケーブルを買いにいかねば。
シャワーを浴びて着替え、ホテルの近くにある「EAT」というサンドウィッチ屋に行って、ロースト・ビーフのラディッシュ風味のサンドウィッチとサラダで昼食。健康志向のところのようだが、なかなかおいしかった。店の構えも洒落た感じ。
そのあとRegent Streetをてくてく歩いてPiccadilly Circus方面へ。以前来て覚えていたSOHOのパブでワールドカップのイングランド−パラグアイ戦を見ようと思って行ってみると、外から見てもすでに店内はものすごい盛り上がり方。しかし店の前には警官が何人もいて、入ろうとしても入れてくれない。どうも危ないということらしい。相当にアグレッシヴなサポーターが集結しているようだ。
仕方なく周囲を歩き回って別のパブを見つけ、そこでギネスを飲みながら観戦。その店はずいぶんとおとなしく、若い連中が多い割にはいいプレイが出ると控えめな拍手が出る程度。それでもイングランドの勝利で試合が終わると、大きな拍手が湧き起こった。
その店を出て、最初に寄ったパブのほうにまわってみると、案の定と言うか期待通りというか、店のある通りに入る前からもう地鳴りのような騒ぎ声が響いてくる。「これだぜ」と思い角を曲がると、店の前はイングランドの赤いユニフォームを着たサポーターたちで溢れかえっていて、歌うわ踊るわの大騒ぎの真っ最中。日本風に言えば「放歌高吟」といったところなのだろうが、日本人とはパワーがまるで違う。そのまわりを警官が取り囲んで、一般人(笑)が近づいたり乱入しないようにしていた。
そのうち、集団は突然移動をはじめ、警官も後を追って移動しはじめた。面白そうなので僕もそのあとをついて行くことにした。
彼らはSOHOのいちばん賑やかなエリアであるLeicester Squareを大騒ぎしながら突っ切って行く。途中で道端にいた黒人の女の子がゲラゲラ笑って僕の肩や腕をばんばん叩き「なにあの人たち、子供みたいー」などとウケまくっていた。
いったいどこまで行くのかと思っていると、突然視界がひらけた。Trafalgar Squareだ。彼らはそこの噴水に向かって突進していった。噴水にはすでにたくさんの赤いユニフォーム姿のファンたちが群がり、びしょ濡れになりながら雄叫びをあげていたが、新たなるサポーターの乱入で、広場は狂乱の様相を呈しはじめた。男も女ももうみんなびしょ濡れのぐちゃぐちゃで、サッカーボールも飛び交い、みんな完全にぶっ飛んでいた。実を言うと僕もちょっと混ざりたかったけど(笑)カメラを持っていたので思いとどまった。
何枚か写真を撮ってから、Trafalgar Squareを望むThe National Galleryの前の芝生に引っ込んで少し休んだ。そこで煙草を吸っていたら、びしょ濡れの青年がやってきて「煙草を分けてくれないか?自分の煙草が濡れちゃったんだ」と言うので1本分けてあげた。
騒ぎのピークが過ぎたところでLeicester Squareに戻ると、こちらはこちらで狂乱の大騒ぎの真っ最中で、酔っ払ったサポーターたちが集まって浮かれ騒ぎ、ボールを力いっぱい高々と蹴り上げては奪い合うという遊びに興じていた。コケたりして流血している者もいたが、テンションが上がりまくっているのでとくに気にならないようだった。途中、警察が車で乗り込んできたが、ものすごい重低音のブーイングの嵐











