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鳥居みゆきDVD「ハッピーマンデー」を読み解く

もういいかげんネタバレをしても良い時期かと思うので、鳥居みゆきのDVD「ハッピーマンデー」について少し掘り下げて書いてみようと思います。
このDVDの本編は、基本的な構造として「まさこ」のキャラクターに憑依した「鳥居みゆき」をベースとしつつ、さまざまなネタを演じるいくつもの人格を経巡っていくという形を取っているように思います。つまり「まさこ」は全編を通じての案内人の役割を果たしているのです。
なぜこのような構造になっているのかというと、もちろん「鳥居みゆき」が、発狂しているにもかかわらずポップでもある「まさこ」のキャラクターによってブレイクを果たしたということもあるでしょうが、それはメインの理由ではありません。ブレイク後、ほとんどの地上波テレビでフィーチャーされている例のブリッジ「ヒットエンドラーン」がおまけ映像扱いで、それとセットになっているショートコントも、木下さんシリーズが1パターンのみ(血しぶき付きで完全版は地上波では放送されていない)、それに「水子供養」の一部としてこれまた地上波では放送されたことのない「あかずきんちゃん」日本赤軍バージョン(モザイクとピー音によって初見では何がなんだかわからないようになっている)が収録されているにとどまっていることからもそれが伺えます。本当の理由は、おそらくは「まさこ」が「鳥居みゆき」を演じる「鳥居美由貴」のナマの「素」、つまり「無意識」の領域にもっともダイレクトに結びついているキャラクターだからなのではないかと考えます。
例の結婚騒動の後、彼女が結婚しているということから「普通の人じゃないか」「ツクりだったのか」というような意見がずいぶん出ましたが、過去の芸人仲間・関係者との会話やインタビュー、特にブレイクよりずっと前のものを調べてみると、やっぱり彼女はいわゆる「普通の人」ではないと言わざるを得ません。すごく真面目と言えば真面目だし、頭がいいと言えばものすごく頭がいいのですが、やはり世の中とすんなり折り合いをつけられる人ではないし、はっきり言って病んでいます。たとえ表面的には日常生活をなんとかこなしているとしても、心の中には相当に深く暗い闇を抱え込んでいると思います。こういうものは、結婚したからといってそう簡単に消えるものではありませんし、そもそも激しく個人的な領域に属することですから、結婚とか日常生活などという社会的・制度的なものとはまったく別の次元の話です。その意味では彼女は「表現せずにはいられない」人なのでしょう。つまり、表現することが自己治癒の手段でもあるのですね。だいたい、そうでなければそもそもあんなキャラクターは出てきません。結局は、自分の中にあるものしか出てこないのですから。
現在の「まさこ」が画期的なのは、理性によるフィルターや再構成は最小限にとどめ、そういった病んだ部分をほとんどナマのままストレートに出してきていることにあります。その意味ではこれが「芸」として成立しているのは奇跡的と言えます(この部分で、彼女の容姿が大きく役立っているということは言えるかも知れません)。これは特にフリートークにおいて顕著ですね。「まさこ」としてネタをやるときは、一応は「ショートコント」という型にはめていますから。「まさこ」の真髄はコントから離れたところにあります。
フロイト的観点から言うと、何らかの手段により「無意識」と「理性」の間にある抑圧の壁を少し下げてやる、または「無意識」のパワーを少し上げてやることによって、理性によるコントロールを残しながらも、同時に無意識の力が壁を越えて流れ出てくる、という状態を作り出すことができます。昔のミュージシャンやアーティスト、作家の中には、その状態を麻薬によって人工的に作り出し、無意識の領域から音や色、言葉を引き出そうとした人たちが実際に数多くいました。「鳥居美由貴」は「まさこ」のキャラクターによって、そういった無意識の力をかなり意識的にコントロールすることができるようになり、さらに言うと、それによって「鳥居みゆき」とも以前よりうまく折り合いがつけられるようになったのではないかという気がします。まあ、エスタロンモカの助けも多少は借りているかも知れませんが(笑)。
このDVDにおいて柱とも言える「まさこ」キャラでの「24時間監視」はそのハイライトです。ここでの「まさこ」たる「鳥居みゆき」はまさに無意識がだだ漏れの状態と言えます。それだけに見る側の無意識にも強く食い込んでくるため、下手すると「感応」してしまう人もいるかも知れません。ちょっとだけ恥を晒すと、僕自身、何かの拍子で家にひとりでいて、お酒を飲んでいるときなど、アルコールの力で抑圧の壁が低くなり、これに近いことをしてしまうことがあります。もちろん理性は頭の片隅にちゃんと残っていて、自分でも「ああ、なんか今おれ狂ってるなあ」とも思っているし、本当にヤバいことはしないのですが、とても他人には見せられない姿です。だからこそ僕はこの「24時間監視」が怖い。まるで自分のはらわたを目の前に突きつけられたような恐怖感があるのです。まあ、これはいささか私的な感想ですが。
この「24時間監視」の最中、「まさこ」たる「鳥居みゆき」は部屋にあるあらゆるものにちょっかいを出します。監視用のカメラはもちろん、電話、洗面台とその栓、パイプ、鏡と、律儀なまでに順番に反応していきます。しかし唯一、テレビだけはスルーしています。これは興味深いですね。また、最後に「まさこ」たる「鳥居みゆき」は、医師を殺害したあとで、本編では自らの頭を撃ちぬき、隠し映像では生きて監視部屋から脱走します。これは本編だけ見れば「まさこ」たる「鳥居みゆき」を自ら否定し葬ったのだと取ることもできますが、僕はむしろここに、絶対に他人の言いなりにならないぞ、他人に振り回された挙句、芸人としての死を迎え葬られてしまうようなことにはならないぞ、という「鳥居みゆき」の強い意志を感じます。表面的にはたとえ死んだように見えても、自分は必ず別の場所で生きのびる、という、芸人としての強烈な意志表示なのではないか。そんな気がします。
このように「まさこ」は「鳥居美由貴」の核にして芸人「鳥居みゆき」のベースであり、したがって、すべてのキャラクター、すべてのネタの中には「まさこ」が潜んでいるのです。DVD全体の案内人、リンク役としてこれ以上最適なキャラクターはいないと言えるでしょう。「鳥居みゆきに100の質問」の中で「このDVDを誰に見てほしいですか?」と聞かれ「まさこ!」と答えているのはまさに真実であると思います。
さて、その「まさこ」によってリンクされているコントネタはいずれも旧作です。黒歴史であるファーストDVD「ギャグラ!鳥居みゆき編」とかぶっている部分もかなりあります。なぜこのようなことになったのか。それは何よりも、彼女が「ギャグラ!」の出来に強い不満を覚えていたからでしょう。僕はいちおう「ギャグラ!」もひととおり見ましたが(現物が手に入らないのでやむなくネットで拾いました)、コント部分は予算をかけてないのが露骨にわかる作りで、むしろグラビア部分のほうに力が入っている感があります。まあ、コントのほうは万人受けしないことは自他共に認めていましたし、セールスを考えればグラビアの方に力を入れるというやり方もわからないではないですが、芸人「鳥居みゆき」としては不本意だったでしょう。だから、この機会に自分のイメージどおりにきっちり作り直したかったのではないでしょうか。「水子供養」は最後、ちょっと変えていたようですが(笑)。そこまでして地雷を踏みに行きたいか(爆)。
最後に、敢えて(だと思う)「ポエム」と題された3篇の詩について。僕はこの中で「季節」が素晴らしいと思いました。鳥居みゆきも「社交辞令でハイタッチ」の中で冗談めかして「スタッフの反応が今ひとつだったから」これがいちばんのお気に入りだと言ってましたが、実際、僕が見るかぎり、これは他の2編と比べるとまったくレベルが違います。シュールであり、ギャグであり、しかもせつなくもある。傑作だと思います。

以上、僕なりに「ハッピーマンデー」をどう見たか、ということについてまとめてみました。後になってまた追加でいろいろ言いたくなったり、あるいは「あ、間違いだった!」ということもあるかと思いますが(何しろ被分析性が高く、深読みしようと思えばいくらでもできますからね)とりあえず、現段階でこんな風に見ているやつがいるということで。何かの参考になれば幸いです。

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tag : 鳥居みゆき お笑い 芸人 DVD ハッピーマンデー

comment

Secret

はじめてコメントさせていただきます。
ブログいつも感心しながら拝見させていただいてるのですが、今回はいつにも増して納得!!という内容だったので書き込ませていただきました。
鳥居さんが「表現せずにはいられない人」で、「表現することが自己治癒の手段でもある」というのは僕も強く感じます。その後の「まさこ」論も、自分はそこまで突き詰めて考えていなかったのですが、大きな共感を持って読ませていただきました。

僕は福岡在住なので、細々と福岡から鳥居さんを応援するべく活動しております。福岡の鳥居ファンの皆にも是非紹介したいので、(mixiのコミュニティですが)こちらの記事へのリンクを貼らせていただきたいのですが。何卒よろしくお願いします!


>>fuckami様
いらっしゃいませ。お読みいただきありがとうございました。
mixiへのリンク、どうぞお貼りください。というか、僕もmixiの鳥居みゆき関連コミュに3つ入ってるんですが(笑)。

>>ぶる様
ありがとうございます!早速貼らせていただきました。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=30972637&comm_id=3287860

今後もブログの更新楽しみにしております!

いつも、このブログを楽しみにして読んでいます。鳥居さんの持つ被分析性に触発されて、私もちょっと分析してみます。

それは、「多毛症」の存在意義についてです。私は、鳥居みゆきにとって「多毛症」は過去の自分を投影しているのではないかと思っています。過去数年間にわたり世間に認められず、なかなかブレイクしなかった鳥居さんは、試行錯誤した結果「まさこ」というキャラクターを生み出した。しかし、過去の自分を捨てる事ができないからこそ、「多毛症」を過去の自分に見立ていつも持っているのではないでしょうか?
そう考えると、堕天使時代に巻いていた包帯を「多毛症」が巻いているのも納得できませんか?

鳥居みゆきが「多毛症」の存在をいつも否定しているコメントも、過去の自分に触れないで欲しいという気持ちも込められているのではないでしょうか・・・

>>パラメディック様
いらっしゃいませ。ご愛読ありがとうございます。
多毛症ですが、どうでしょうね。僕は、あれは現在の「まさこ」のキャラクターの中にあるイノセントさとその裏返しの残酷さを増幅するための一種の「装置」だと思っていて、鳥居みゆき自身の本質とはあまり関係がないと思っています。まあ、真実は藪の中、蚊帳の外ですが(笑)。

ギャグラ

ギャグラはDMMというサイトでレンタルしてますよ

>>tyoroin様
あ、そうか。そういう手もありましたね(汗

はじめまして

こんにちは!
Google検索から偶然たどり着いて拝見しましたが、本当に真摯に鳥居さんを分析・批評されていることに感動しました。

私がなぜこんなにまでも鳥居みゆきが好きなのか、というモヤモヤした想いがそのまま文章に書き起こされていた感じで『そうそう、だから好きなんだよね』と終始うなずいてばかりでした(笑)

やっぱり鳥居さんは、”お笑い”というジャンルにはくくっておけないほどに正真正銘の表現者で、アーティストで、それでいてやっぱりユーモアのあるお笑い芸人で……『創作とは世界に積もるうさを晴らすこと、オートセラピーのある種の形態である』と私の尊敬する芸術家も言っていますが、鳥居みゆきの”芸”からもこのような芸術創作的要素が感じられる気がします。
そんなことを考えながら、こちらの文章を読んでました(´ω`)

なんだかよくわからない長いコメントで申し訳ございません><
これからも楽しみにしてますー
では失礼します

>>まりこ様
いらっしゃいませ。お読みいただきありがとうございます。
過去数多くの表現者が「表現とは自分の中にある欠落を埋めるための行為だ」という意味のことを言っています。まさに自己治癒・自己セラピーそのものなんですね。そして僕は鳥居みゆきの芸にもそれと同じようなものを感じます。正気でいるためにお笑いをしているのではないかと。その意味では彼女はやっぱり「本物」なのだと思います。
また是非いらしてくださいね。
プロフィール

ぶる

Author:ぶる
大学時代にアメリカのど田舎に留学し、ジャズを中心にあらゆる音楽を聴き、酒と煙草と本と香水とNYと南フロリダとブルックス・ブラザーズと前のめりなお笑いを愛し(ただし最近ちょっと酒のほうは弱くなってきたかも)ある時は会社員、ある時はドラマー、ある時は音楽評論家、ある時は翻訳家といろいろな顔を持つ♂です。

太古の昔、パソコン通信の時代から「ぶる」というHNで活動しています。

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